何年か前に、字幕の翻訳をさせてもらったヒルデガルトのドキュメンタリー映画「型破りな神秘家 ヒルデガルト・フォン・ビンゲン」を製作したマイケル・コンティが、昨年ドイツのヒルデガルトの巡礼の道のを旅し、巡礼の道をたどる道中あちこちで撮影をおこない、巡礼の道を紹介する動画を製作すると聞いていました。その際に撮影されたものでしょうか、若い女性が初めてディジボーデンベルク修道院跡を訪れたというストーリー仕立てのショートムービーを製作しています。
動画では、オーストラリアの詩人コリーン・キーティングさんの「ビンゲンのヒルデガルトを求めて」という詩が朗読されています。とても美しい詩なので、訳してみました。
「ビンゲンのヒルデガルトを求めて」
私はビンゲンから列車に乗る
ライン渓谷を通り
汗ばむ夏の日に
急坂を上り
修道院跡という古い看板を見つけてホッとする
それは涼しげな木立へと通じる
青葉の茂る道を指し示す
12世紀の修道院の名残
苔むした石垣
つるに埋もれて
そして埋め込まれた木の根
ここはヒルデガルトの世界
この瞬間
まるで別世界に佇んでいる
時を感じない
何世紀もの時空の狭間で
心の眼にしか見えない
妖精のような若い女性
ハーブガーデンを生い茂らせる
彼女は軟膏やトニックを作り
病人を世話する
そよ風に耳を傾け
丘の上に神を見出す
それは彼女にとってビジョンの執筆、曼荼羅や音楽のための時
後に腐敗した家父長制と無意味な戦争に反対する
力強いフェミニストの声となる
地球は私たちの母 彼女は歌うだろう
地球を崇め敬えと
私たちが地球を搾取して痛めつければ
地球はバランスを失うだろう
その代償は高いだろう
そしてその後九百年の沈黙
私たちの時代
はかりがひっくり返る
オールオーディナリーとダウ・ジョーンズは尺度である
日々の完敗を受け入れた人は娯楽に群がるようになる
魂の傷は兵隊を泣くに泣けなくする
ヒルデガルトの回廊の壁にもたれかかる
アーモンドの木陰で
垂れ下がった果実は今が旬
はかなく落ちる
役に立たない
無価値
如何に人はたっぷりな見返りを
心配しながら待っているのか
私の周りに散らばった
腐ったアーモンドの実
ハエたちはこのごちそうを楽しむ
土を肥やす腐った食べ物
目を凝らして彼女の存在を探す
崩れ落ちた割れ目に生えるシダが
目に留まる
繊細で粘り強い
私を元気づける
新たな生命の初めてのはばたきのように
余りにも頻繁なはかない心の奥のささやき
軽快な接触
聖域のランプのゆらめき
まるでわずかな気配のように見落としやすい
呼吸の起伏に思いを馳せる
鼓動を聞く
崩れ落ちた壁にビリディタスの歌を聞く
ビディタスがヒルデガルトとつぶやく
ヒルデガルトはここにいる
私はたじろがない 私は彼女が来るのを待つ
修道院の灰色の像のようでは全くなく
宝珠と羽を持っている
彼女の態度は親しみやすい
光り輝く
彼女の腕には庭で摘んだたくさんのハーブ
そして泥だらけの彼女手作りサンダル
思わず笑ってしまう
彼女は、ヒルデガルトに魅せられ「ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:ポエティックジャーニー」という本を出版し、その本がオーストラリアで賞を取られたとか。
こちらの本も見逃せません。早速アマゾンで注文しました。
聖ヒルデガルト料理研究会
ようこそ、St. Hildegard Küche Study Group(聖ヒルデガルト料理研究会)のウェブサイトへ!すでにFacebookでは、同名のページを開設しヒルデガルト・フォン・ビンゲンについて、食の教えを中心に情報を発信しております。 こちらのウェブサイトでは、ヒルデガルトが勧める食材やスパイス、ヒルデガルト料理やお料理のレシピなどなど、色々ご紹介していきたいと思います。
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